『ハイロフトのウェッジ、お試しになりましたか?』
今回はハイロフトウェッジについて講義をすることにしましょう。
ここでハイロフトウェッジとして私が意味しているのは60度を超えるロフト角を持ったウェッジとご理解ください。
❑ アマチュアだから必要なクラブ
男女を通じまして日本のプロゴルファーには、たとえば64度といったハイロフトウェッジをバッグに入れている選手はほぼいないと言っても過言ではありません。
その理由は日本人選手の技量、コース設定とキャディバッグに入れることの出来るクラブの本数制限とを考慮すると
「必要ない」
からです。
日本のコースよりも池がふんだんに配置され、グリーン形状も多彩でピンポジションも厳しい米国PGAツアーでは、その数は多くないにしてもハイロフトウェッジをバッグに入れる選手がちらほらいます。
プロの選手の使用クラブに影響を受けることの多い一般アマチュアゴルファーの皆さんですが、クラブには
プロが使っていてもアマチュアの皆さんにとっては役に立たないクラブ
と
プロは使っていないけれど、アマチュアの皆さんにとっては役に立つクラブ
とがあります(※1)。
前者の例としましては「ロングアイアン」や「アイアン型のユーティリティー」(※2)を挙げられます。これらのクラブは一般のゴルファーにとりましては「ボールが上がりづらい」ため役に立ちません。
後者の例としては「ジガー」(※3)や「チッパー」(※3)が挙げられます。これらのクラブは難しいアプローチを簡単にしてくれるため、練習をほとんどされない方やどう練習してもアプローチが上手にならないゴルファーにとりまして役立ちます。
※1 ヘッドスピードがあるゴルファーで例外の場合はあります。
※2 ソールをはじめとしたアイアンの肉厚を厚くした形状のアイアンのこと。他の型としては「ウッド型のユーティリティー」がある。
※3 ザックリご説明させていただきますと「パターにさまざまなロフト角を付けて」、パターの打ち方でボールが上がるようにしたアプローチ専用クラブ
さて、今回取り上げているクラブは後者に分類されると私、須崎はかなり高い確信を持って思っています。
・・・なぜか? 以下にハイロフトウェッジの用途を思いつくまま書き連ねてみますよ。
◆ 短距離のフルショット
◆ 砂の硬いバンカーショット
◆ 目玉のバンカーショット
◆ 近いピンへのバンカーショット
◆ ロブショット
◆ 左足下がりのアプローチ
ちなみに、これらはすべて私が64度のハイロフトウェッジをバッグに入れてラウンドしていた際に経験したことばかりです♫
それではそれぞれの用途とハイロフトウェッジだからこその利点のご説明に移ることにしましょう。
❑ 用途と利点
【須崎の解説】
◆ 短距離のフルショット
そのゴルファーの打ち方で飛距離は変わるものですが、7番アイアンで150ヤードほど出るゴルファーであればハイロフトウェッジ(※)のフルショットで60ヤード前後、7番アイアンで100ヤードほど出るゴルファーであればハイロフトウェッジ(※)で20〜30ヤード前後が一つの目安なります。
※ ココでは64度を使用したものとします。以下同様。
一般的にアマチュアゴルファーにとりましてはこの20ヤード〜60ヤード前後という距離はフルショットが出来ないという意味で「中途半端な距離」(※)す。
※ 「中途半端な距離」に関しましては未読の方はコチラも学んでおかれると良いですよ♫
『中途半端な距離に見るプロ、アマの違い』
今回は男性ゴルファーにとりましては「30ヤード」、「40ヤード」、女性ゴルファーにとりましては「20ヤード」前後といった最も飛距離の出ないサンドウェッジを使用しても…
私がラウンドレッスン等でお客様とご一緒しますとこの「中途半端な距離」からのショットで苦戦されるケースをよく目にします。
この「中途半端」な距離をフルショットで対応できるハイロフトウェッジはそれだけでも重宝な存在といえます。
また、一般的にハイロフトウェッジはロブウェッジに分類されるため、ソールのバウンス角がサンドウェッジよりも少なく設計されているため、「バウンスの跳ね返りが気になるゴルファー」でも気にされることなく、他のアイアンやピッチングウェッジの感覚で打っていただくことが可能です。
◆ 砂の硬いバンカーショット
砂の硬いバンカーではフェースを開くことはふさわしくない(※)ので、どうしてもロフト角が減ってしまい弾道が低くなりがちです。
その点、バウンス角が少なく、もともとロフト角の多いハイロフトウェッジは砂の硬いバンカーではうってつけのクラブなのです。
ただし、レディースゴルファーには若干注意⚠が必要で十分な距離を出すことが難しいケースもあると思います。逆に「バンカーから出すだけですぐ近くに落としたい」と言う場合には有り難いクラブになります。
※ バンカーショットは1種類ではすべての状況に適応できません。その点を学びたい方はコチラをどうぞ。
『観察力で決まるバンカーショット』
今回はアベレージ・ゴルファーの皆さんが意外にご存じないバンカーショット(※)についてのお話です。 ※ ここでいうバンカーショットとはグリーンの周りに…
◆ 目玉のバンカーショット
目玉のバンカーショットも前出「砂の硬いバンカー」同様、フェースを開くことが出来ない(深く潜っている場合ではフェースを閉じる必要さえあります)ので使い勝手が良いです。
レディースゴルファーで飛距離を出せない場合は有利となりませんので、その場合にはとらわれずにサンドウェッジ等を使用しましょう。
◆ 近いピンへのバンカーショット
ロフトがあるために「もともと飛距離が出ない」ので、飛んでしまっては困る近いピンのバンカーには有利です。またスピンも非常にかかりますので、落ちてすぐに止まるボール(※)が期待できます。
※ スピンタイプボールで効果は顕著となります。
注意⚠を要するのは「左足上がりのバンカー」です。左足上がりのバンカーではその傾斜のためにサンドウェッジさえ、60度以上の角度となりますのでハイロフトウェッジではロフトが付きすぎて「ダルマ落とし」や「真上に上がって落ちてくる」ようなボールになりがちです。
◆ ロブショット
ボールを高く上げて止めるアプローチであるロブショットは通常、サンドウェッジのフェースを開いて行いますが、フェースを開いて打つことは技術と練習が必要で一般のアマチュアゴルファーにとりましてはそう簡単なことではありません。
しかし、もともと飛距離の出ない、また高く上がるハイロフトウェッジを使用しますとフェースを開く必要がないために比較的簡単にロブショットを打つことが出来るようになります。
◆ 左足下がりのアプローチ
一般のアマチュアゴルファーにとりましては左足下がりの30〜70ヤードのアプローチでは通常ボールを止めることは期待ができませんが、バックスピンが多めにかかるハイロフトウェッジを使用しますと、傾斜の影響で弾道そのものは低いながらもバックスピンがかかった球を打つことが出来ます(※)。
※ 「スピンタイプのボール」を使用していただくこと、フェアウェイからのショットであることが条件になります。
❑ 使用プロの例
ハイロフトウェッジを使用しているプロで最も有名な選手はフィル・ミケルソン選手(※)でしょう。ミケルソン選手は64度のクラブを使用しています。
他にもマット・クーチャー選手やブラント・スネデカー選手も63度のハイロフトウェッジを愛用しています。
※ フィル・ミケルソン選手につきましてはコチラの記事もございます。
『ウェッジ使いの名手ミケルソンが愛してやまなかったウェッジ』
今回はウェッジの使いの名手フィル・ミケルソンが愛したウェッジについてのお話になります。 フィル・ミケルソン(以下、ミケルソン選手)は有名なプレーヤーです…
日本の女子プロでも横峯さくら選手が過去全英女子オープンに出場する際に現地の深いバンカー(蛸壺(たこつぼ)バンカーと言います)対策として契約メーカーに「70度」というハイロフトウェッジを特別に作成してもらって使用したことがあります。
❑ 須崎が使用した過去の名器
かなり以前から「ハイロフトウェッジ好きの須崎」がこれまで使用したクラブをご紹介しましょう。
◆ キャロウェイ X ウェッジ 64度
◆ クリーブランドクラシック 588(ガンメタル/メッキ) 64度
◆ PING TOUR ウェッジ 64度
◆ タイトリスト ボーケイ 200シリーズ 64度
◆ ダイワ コンソールウェッジ 65度
さあ、今回はハイロフトウェッジにつきまして、山ほど学びましたね😄
ここで注意点をお話しまして締めくくることにしましょう。
まず、「ハイロフトウェッジ」というのは今回お話を進めていく際にわかりやすいので須崎が命名した名前です。一般には通じない呼び名です。
次にハイロフトウェッジの便利さをお話してまいりましたが、練習が必要なのは言うまでもないことなのでご了承願います。特に「振っても飛ばない」ということを覚えるまでは距離感をつかむことが難しいかもしれません。
最後に日本仕様のウェッジではもともと60度を超える設定がないものが大多数ですので海外仕様のものをお求めいただくことになります。また、一般的にはレディース用のハイロフトウェッジはほぼ出回っていない(※)ので、レディースの方にはメンズ用をお求めいただきましてシャフト交換をしていただくことになります。
※ 上記出てまいりました「コンソールウェッジ」はレディース用がございます。
今回もお読みいただきまして有難うございました😄
また一緒に楽しみましょう!!