『元銀行員が開く米粉のパン屋さん』
今回はゴルフの話題を離れまして、私が昨年訪ねました(私と同じ)元銀行員の一風変わったパン屋さんをご紹介したいと思います。
そもそもどうしてこちらのパン屋さんをお訪ねすることになったかと申しますと、読売新聞にこちらの店主の記事が掲載されていたのですね。
私も趣味でパンを焼くのと、何よりもこちらのご主人が私と同じ「元銀行員」でいらっしゃると言うので、居(い)ても立ってもいられずに出かけた次第なんです。
店主のお名前は村上孝博さん、以下略歴をご紹介致します。
略歴:
岐阜県出身、銀行員を退職後、現在は米粉のパン屋『カフェ らいさ~』店主。
4月のうす曇りのとある日、横浜市南区にある、かわいい米粉パンのお店『カフェ らいさ~』へ仲の良い食の研究家さんとお邪魔して、店主の村上さんにお話を伺いました。
下の写真右が村上さん、左が私、須崎になります。
お店は横浜の少し先にある「京浜急行の南太田駅」下車です。
こじんまりしたかわいい💞感じのお店です。
その日、村上さんとの出逢いはそれは思いもかけない形😱でやってきました。
てっきり、村上さんとはお店の中で白衣のパン屋さんの恰好でのご対面になると思っていたのですが、食の研究家さんとお店の前で待っていますと、村上さんはおしゃれな帽子とジャケットというイデタチで、景品で当たったとおっしゃる可愛い赤い自転車にまたがってさっそうと登場されました(驚☆!)。
これには食の研究家さんとともに私もビックリ(*_*)でした!!!
そのかわいい店内に足を踏み入れますと、正面には工房、右手にはパン、シフォンケーキ、そして村上さんが選ばれた茅ヶ崎の健康的な野菜が並べられた棚がありました。
商品は普通のパン屋さんのようにたくさん置かれているわけではなく、化粧をしていない「すっぴん」の少数のパンやシフォンケーキが並べられていて、せっかちで欲張りな私💦は「先に買っておかないと、取材後に売り切れちゃったらどうしよう」と焦るくらいの個数の商品が可愛く並んでいました。
須崎の感想:
「すっぴん」のパンは可愛く、お優しい人柄の村上さんがそのままパンになったように感じました!!
それを私は思ったまま、会って間もない村上さんにぶつけました。
そうしますと村上さんは一瞬の沈黙の後、何とも言えない微笑😃をお顔に浮かべられました。
気持ちを落ち着けて、ゆっくりお話をお伺いするために😅先にパン、シフォンケーキ(上の2枚の写真の内の下段のもの)を購入させていただいてから、店内の食卓で村上さんのお話を伺い始めました。
米粉を使ったパンは他のお店でも発売されていますが、村上さんのお店のものは米粉の使用量が82%(通常のパン屋さんの「米粉パン」は約30%前後とのことでした)と米粉の割合が非常~に高い⤴そうです。
米粉のパンはその粉の収縮性のために、こねる時に小麦粉よりも縮みやすくて難しいそうです。
米粉は村上さんが信頼を寄せる農家さんが育てた品種改良される前の新潟産コシヒカリを粉にしたもので、粉にする方法も何種類かあるとのことでした。
食の研究家さんが
「なぜ、わざわざ品種改良前のお米を使うんですか?」
と尋ねますと、村上さんは、その優しいお人柄で次のように話してくださいました。
村上さん:
「一般的にはお米の品種改良というのは収穫が増えるように、あるいは食感がよくなるようなことを目的にするそうですよ。でも、その代わり、お米本来の甘みやねばりといったものが失われてしまうらしいんですね」
須崎の感想:
「へ~、そうなんだ!! 改良というと『すべての面でよくなる』というイメージだったけど、良くなるばかりではないんだぁ~。失うものもあるのね・・・」
また米粉は挽(ひ)きたてのものの方が良いんですって(←同行の食の研究家さんも「時間がたつと油分が酸化してしまうんですよね」と仰っていました)。
村上さんはコーヒーを例にとって次のように説明して下さいました。
「コーヒーも同じらしいんです。煎(い)り立て、挽きたて、淹(い)れ立ての『三立て』が大事らしいです」
須崎の感想:
「う~ん、村上さんは本当にいろいろなことをご存じだぁ~」
ここで同行していただいた食の研究家さんから村上さんへ次なる質問が出されました。
食の研究家さん:
「村上さんご自身はパン党なんですか? お好きな食べ物は?」
←(須崎感想)「う~ん、ナイスな質問だぁ~(^_^)」
すると村上さんからは、
村上さん:
「私はご飯党ですね。好きなものはそうですね~、うなぎ、魚、お寿司ですかね~」と持ち前の人なつっこい笑顔で答えてくださいました。
須崎の感想:
「そっかぁ💡、和食党だから米粉のパンなのね☆」
次いで食の研究家さんからさらなる質問が・・・。
食の研究家さん:
「パンのお店というとお客様は女性が多いですよね~??」
村上さん:
「そうですね。8割が女性の方でしょうか・・・」
村上さんが米粉のパンと出逢ったのはハローワークでの食と農の研修を受けられた時だそうです。
ここで村上さんワールドが展開されることになります。そのあたりをご本人に語っていただきましょう。
<村上さんの世界>
村上さん:
「私には『日本の大切な宝であるお米の消費量を上げたい』という使命感があったんですね。
この米粉パンを扱う事業を営むことで、これまた日本の宝である『動植物の生態系』を守ることも出来ますし、『休耕田』が再生し、『健康食材』を普及させることにもなります。
定年後に事業を行うことによって、頭を使ったり、体を動かしたりすることにもなりますので『介護予防』にもつながると思うんです。
そのモデルケースとして私がまず自分でやってみているのが、このお店なんです。
私のモデルケースを土台に、一人一人の方が『提供するもの』や『使う食材』を例えば、その方の地元の特産物を使うなどして中身を変えていっていただければいいと思うんですよね」
須崎脚註:
お話しの中の『』(2重カッコ)は庵主が村上さんの大切にされていると印象を受けたキーワードやその方が皆さまが読みやすいかなと思いまして勝手に『』に入れさせていただきました。悪しからず♪
お話をお伺いしている最中、村上さんはとてもお幸せそうでした。
次のように語っていらっしゃいます。
村上さん:
「ええ、今は楽しいですね。
これまでは出会いたくても、とうてい出会えなかった人たちと出逢うことが出来るようになりました。
そういう方々から『たくさんの刺激』を受けて、それが私の財産になっていますね。
例えば私はこれまでは女性と会話するといっても話題に接点がなかったんですね。でも、この仕事をはじめて食のことを学んだり、シフォンケーキ作りの講習会をやることによって、『食』という共通の話題が出来て会話のキャッチボールが以前に比べて出来るようになったんです」
また、村上さんはこのようなことも仰っていました。
村上さん:
「例えば講演で話した人のことは覚えていなくとも、食べたものの印象は残るんですね。米粉のシフォンケーキは『ふんわり♪&しっとり~♪』ということがお客様の印象に残って、その印象を知り合いに話してくださるんですね。
当初、『日本の大事な宝である米の需要を伸ばすことに貢献したい』という使命感ではじめたこの仕事ですが、お客様から『おいしい』と言われることに喜びを感じた時は、そういうことを目的にしていなかったので自分でも意外でした。」
須崎の感想:
「へ~、はじめに例えば『お客様の笑顔を見たくて』始めましたというのではなく、後から『おいしい』と言われることで喜びと張り合いを感じたんだぁ~。珍しいパターンの気がする(^_^)」
ここで食の研究家さんから確認が・・・
食の研究家さん:
「そうしますと『頭の中にあるものを守る感じ』でやって来られたということでしょうか?」
村上さん:
「そういうことですね」
続いて村上さんが学校をご卒業して就職する時のお話になりました。
村上さん:
「私は商業高校を出まして、今もそうかもしれませんが、その時の成績や性格などを先生がご覧になって、それで就職先を決めてくださるんですね。ですから、『自分が何をやりたい』というよりも、自然な流れで銀行に入行することになりました。
そうして働き始めたわけですが、もう、銀行員時代は忙しくて、忙しくて、『とりあえず目の前にあるものを片付けること』で精一杯でしたね。
それでも、
『その時は何でこんなことをやっているのかな?』と思っていたことも、今思い返してみますとうまく出来ているのですね・・・後で『ああ、この時のためにその段階が必要だったんだ!』とわかります。
無駄なことは何もない。
一連の仕事を通じまして私は『それぞれの物事が、どういう仕組みになっているのか』を知りたい性分なんだなということがわかりました。
それが私の行動の基準になっているようです。
そして、新しいことを知るのが好きで、知ってしまうと次に行くという感じです。
そうお聞きになりますと、一見積極的に思われるかも知りませんが、自分から手を上げて次の分野に挑戦するというよりも、その時の出来事によって『そこへ行かされる受け身の感じ』でしたね。
一般的に銀行の仕事としましては法律、条文、銀行の規定などを守っていればまあ、うまく行くわけですよね。
ただ、不良債権処理を担当していた時はそういうものに当てはまらないことが結構あるわけでして、そういうときも私は法律を見て、弁護士に相談し、会社方針に照らし合わしたりして、その仕事にかかわって行く中で、最終的にその『しくみ』が『ああ、こうなっているのか!』とわかってくるという感じで仕事をしていました。
また、そこにニーズがあって役立つのであればいいけれど、『目標を達成するのに無理に数字を集めること』には抵抗がありました」
と仰っていました。
話は村上さんの「問題意識」に移って行きました。
村上さん:
「戦後、アメリカ主導の復興によって、お米の地位が下がり、そして海外から輸入された農産物の農薬なのか、そのほかの要因かはわかりませんが、日本人の食を通じての健康が揺るがされて来ました。
今の時代は『介護問題』に象徴されますように『既になってしまった人』への対処に人、物、そしてお金が投下されています。
なってしまった人への対処はもちろん大切ですが、それではこの問題は根本的には解決しないと思っているんです。
健康の問題で言いますと、もう少し『病にならない』ような『予防策』が必要だと思っています。
そこで私は例えば定年を迎えた方が、起業し、経営をすることを不健康や要介護の『予防策』の一つとして提案しています。
先ほどお話ししましたように、そのモデルケースとして私自身がまずこの店を作ったんです。
(ここで須崎が質問しました)
須崎:
「村上さん、でも例えば一人ずつ起業したとしても日本全体では気が遠くなるような時間が必要になりますよね?」
そうしましたら、村上さんから次のようなことが返ってきました。
村上さん:
「ええ、確かにそう思いますよね。でも、例えば100人を変えるのに全員を変えなくてもいいと聞きます。100人の内、ある一定割合の方が変わると、あとは一転して皆変わるそうです。
例えば新しいことを発信しますよね。そうすると何%かの人たちが興味を持つと言われています。そして、興味を持った人たちは知り合いに教える。それとは別に遅れて興味を持つ人たちもいるんです。そして、その方々がまた知り合いに教えるということで、その『新しいこと』が広がって行くようですよ」
ここで食の研究家さんから質問が出ました。
食の研究家さん:
「村上さん、ご趣味は?」
村上さん:
「趣味は特にないんです。趣味ではないですが、『生命のしくみ』には興味を持っていまして本を読んでいます。
また『しくみ』ですね(一同笑う)😃😃😃
例えば『細胞』、『臓器』、それに関わる『微生物』に関するものですね。
最近は農薬によって微生物が繁殖できなくなりつつあります。
肥料がなくとも、雑草の上の部分だけを刈って肥料代わりにするといいらしいです。微生物が分解したものが肥料になりますからね。そうすると濃い味の作物が出来ると聞きました。」
・・・食の研究家さんが質問をしました。
食の研究家さん:
「村上さんの食に関しての哲学はどういうものですか?」
村上さん:
「昔ながらの日本食ですね。玄米を主食としたものですよね。あとは大豆、海藻で栄養を補います」
村上さんは食を通じて、発酵の時に大事な役割を果たす微生物にも興味を持っていらっしゃるようで、腸内の微生物はおおよそ
「善玉菌が1割、悪玉菌が1割で残る8割は日和見(ひよりみ)菌」
という割合で存在していて、日和見菌は悪玉、善玉の勢力次第でどちらに付くかがコロコロ変わるということを教えていただきました。
私はこの時「人の構図によく似ているなぁ~」と感じました(^_^)
村上さんの微生物のお話では「食物繊維が微生物のエサになる」という考えが私には役に立ちました。
今まで私は「食物繊維は体に良い」、「食物繊維は腸に良い」という言葉イメージだったのですね。
それが「腸内の微生物にエサをやる感覚」に変わってから、それまで「自分が自分のために食す」というイメージが、「動物園の飼育員が愛する動物に餌をやる感覚」で口に食物を運ぶようになり、食べ方が変わったように思います。
「村上さんのお人柄に是非直接触れたい」、「直接お話しを聞いて気づきを深めたい」(須崎より:同じお話しでも、その当人がそこに存在してお話しいただくお話はまた違ったものとして体に染みると思いますよ♫)などご要望がございましたら、お問い合わせください。
ご希望の方がある程度そろいましたら、村上さんにご相談の上、『イベント』として企画を検討させていただきたいと思います。
【寺子屋庵主のオ・ス・ス・メ関連図書コーナー】
『水と緑 日本の原風景』
富山和子著 出版社:家の光協会
(寺子屋庵主補足):
写真集です。村上さんのお話をお伺いしていて、この写真集のことが浮かびました。心が和みます♫
今回もお読みいただきまして有難うございました😃
また一緒に楽しみましょう!!