『ショートウッドが認められるまで』

 

今回は、今やアマチュアにもプロにも役立っているショートウッド(※)の誕生とそれらが認められるまでをお話していきましょう。

※ ショートウッドとは今の時代では7番ウッド、9番ウッド等のことを言います。その昔7番ウッドが登場するまでは5番ウッドもショートウッドとして認識されていました。

 

【ショートウッド】

1960年代頃までのメジャーなメーカーのウッドセットは1番、2番、3番、4番の番手で構成されていました。

その当時はまだ1番アイアン(※)や2番アイアンが使われていましたから5番ウッドでさえゴルファーにはまだ馴染みはありませんでした。

※ 1番アイアンにご興味のある方は『1番アイアンはどこへ?』をご参照ください。

 

1970年台に入ってきますと5番ウッドが認められ始めます。

 

その頃、5番ウッドはまだ「女性用のクラブ」という認識で男性、特にプロゴルファーは「バッグに入れたくない」クラブでした。

 

5番ウッドの存在感が一躍上がったのは1976年のマスターズトーナメントでしょう。

 

1976年のマスターズ・トーナメントはグリーンが硬くなり、それまでPar5を1番や2番アイアンで2オンを狙っていたツアーの屈指のロングヒッターたちのボールは着地後、はねてグリーンに止められないコンディションになりました。

 

マスターズに望むにあたって1番や2番アイアンの名使い手でもあったレーモンド・フロイド(※)は事前のそうした情報から、米国メンフィスにあるクラブ工房のバート・ダーギーに5番ウッドの注文を出して、6本を受け取ります。

 

※ レイモンド フロイドの名言はこちら→『ゴルフに役立つ名言(3)』

 

 

フロイドは受け取った5番ウッドをホームコースで猛練習します。

 

2本は練習中にネックが折れ、2本はクラブの顔つきとフィーリングが合わず、2本が残りました。

 

そのうちの1本も練習中にネックから折れ、1本が残り、そのクラブをマスターズトーナメントが開催されるオーガスタナショナルカントリークラブへ持ち込みます。

 

フロイドの作戦は見事に当たり、グリーンの硬さに苦しむ他の名選手をよそに、予選2日間の8つのPar5を9アンダー(1イーグル、7バーディー)でラウンドし、2位に8打差をつけて優勝しました。

 

そのようなこともあり、まずは5番ウッドが世に認められ、続いて7番ウッドが登場してきます。

 

7番ウッドはアマチュアゴルファーには難しく、キャディーバッグのお飾りになっていた3番アイアンの距離をアマチュアでもやさしく打てるようにと考えられたクラブです。

 

7番ウッドはキャロウェイ社が1990年代はじめに発売した「ビッグバーサ」で有名になります。

 

そして、その後のキャロウェイ社の名器となります「スチールヘッド(STEEL HEAD)」の初代から3代目にかけての成功で不動のものになります。

 

日本では片山晋呉選手の7番ウッドが絶品ですが、その名ショットの多くは初代スチールヘッド(1998年発売)からくり出されたもので、片山選手は近年でも使用しています。

 

海外の選手で7番ウッドの名使い手といえば、メジャー10勝、賞金女王8回を誇るアニカ・ソレンスタム(※)でしょう。

 

※ アニカ・ソレンスタムのアイアンショットのワンポイントレッスンはこちら『アニカ・ソレンスタムからアイアンのヒントをもらおう』をどうぞ

 

彼女は片山晋呉選手の愛用する「スチールヘッド」の次のモデル「スチールヘッド プラス」をこよなく愛していました。

 

キャロウェイ社は7番ウッドの成功で、その後のモデルで9番ウッド、11番ウッド、13番ウッドを発売して行きます。

 

ちなみに13番ウッドは5番アイアンの代わりに使用するウッドになります。

 

そのようにして、ショートウッドは世の中でステータスを得ることになったのです。

 

あまり、知られていませんが、屈強な男子プロが愛用してきたクラブのいくつかは、上手に打てないアマチュアのためを思って作成されたクラブが、まずはシニア世代のアマチュアゴルファーや一般庶民ゴルファーの間で評判になり、女子プロやシニアプロが使ってみて、その効果を知った男子プロが使うようになったという道をたどったものが少なくありません。

 

今回もお読みいただきまして有難うございました😃

また一緒に楽しみましょう!!