『パッティング下手が産んだ名器』
今回は、
「ピンパター」
という言葉を産んだPINGパターの誕生についてお話したいと思います。
ピンパターはカーステン・ソルハイムという宇宙工学に携わっていた技術者によって産み出されました。
この人、アメリカ出身と思っている方が多いのですが、実はノルウェー出身です。
ソルハイム氏は42歳の1954年に会社の同僚から人数合わせのためにゴルフに誘われました。
すぐに上手になったのですが、
パッティングだけがどうしてもうまくなりません😥
そこで彼は、
自分で道具を作る
ことにしました。
得意分野の
科学の知識をゴルフクラブに導入して
自宅の車庫🚗で来る日も来る日も試行錯誤を経ながらパター作りに励み💦ました。
彼は自分が作ったパターで課題だったパッティングを克服しました。
そして彼のパターは1967年のジュリアス・ボロス選手のPGAツアーの「フェニックスオープン」優勝✨で脚光を浴びます。
その時、ボロス選手が使用していたのが、その後、「PINGと言えばこの形」と言われるようになる「ANSER」パターでした。
こちらの写真がPINGのANSERモデルになります。
下のソールの写真をご覧いただきますと、「スリット」と呼ばれる溝があるのがおわかりいただけると思います。このスリットによりまして、ボールを転がしますと「ピン♪」と音がします。
それでソルハイムは会社名に「PING」と名づけました。
続いて下のバックフェースの写真をご覧ください。
フェースの中心部の金属がえぐられ、トウとヒール寄りに盛った形になっているのがおわかりになりますでしょうか?
この技法を
トウ・ヒールバランス
と言います。
えぐられたところは「洞(ほら)」になりますね。英語で「洞」のことを”Cavity”というところから「キャビティー」という呼び方が出てきました。
後にソルハイム氏はパターの成功をアイアンにも持ち込み、各社がPING社の真似をして、今、主流のキャビティー・アイアンが誕生しました。
キャビティーにすることによりまして芯が広くなりますので、
打ち損ないが少なくなる
という理屈です。
トウとヒールに私が赤い丸をしましたが、ヒール寄りのこの部分には“PING”、そしてトウ寄りには“ANSER”と入っていますね。
ソルハイム氏は「答え」を意味する“ANSWER”と刻印したかったそうなのですが、ある日その部分が狭く「入りきらないな〜」と悩んでいたところ、奥様の「あなた、それなら1字減らして“ANSER”でいいじゃない?」という一言で、「そうか💡!」とこの名前になったんです。
日本人のゴルフ好きの皆さまはどうぞスペルミスをしないように注意⚠してくださいね😃
「答え」という英単語のスペルは
(正)ANSWER (誤)ANSER
ですからね。
さて、ANSERの初期のモデルは骨董品ですので価値があり、値段も待った異なります。写真のものは値段にもありますように高価でないものです。
今、人気のありますタイトリスト社のスコッティ・キャメロンやオデッセイ社のパターにもこのANSER型のものがあります。
あなたの使っていらっしゃるパターがPING社のANSERでなかったとしましたも、
その原型はソルハイム氏の手によるもの
かもしれません。
ANSERはその後、後継機種のANSER2からANSER5(※)まで発売されました。
※ リニューアルのANSERシリーズには5以降の数字もありますが、ここではオリジナルのブロンズ/ステンレスモデルについてお話しています。
タイガー・ウッズ選手は学生の頃からANSER2モデルを愛用していまして、プロ入り後、スコッティ・キャメロン氏がそのパターを忠実に再現しましたNEWPORT2というパターを彼のために制作し、多くの優勝を彼にもたらしました。
その後、ソルハイム氏はANSERシリーズの他にもB60、ZING、PAL、MYDAYといった現在も多くの他社のパターの型に採用されている名器を世に出します。
こうしたパターは皆、
ソルハイム氏がパターが下手だったからこそ
誕生したといえるでしょう。
面白いものですよね😄
今回もお読みいただきまして有難うございました😃
また一緒に楽しみましょう!!