『七海メンタルを学ぶ(6):池越え/谷越えの場合の心構え』
今回はプロゴルファーを目指す研修生七海(※)がその心の師である和尚と「池越え/谷越えの場合の心構え」というテーマでメンタルに取り組んでいるところにお邪魔して一緒に学ばせてもらいましょう。
※ 七海は女子プロゴルフのプロテスト突破を目指す18歳の研修生。技術だけでなく、自分の能力を発揮し切るための「メンタル」の重要性に気づき、2017年夏から和尚の指導を受けはじめた。
七海:
和尚、お邪魔しま〜す♫
七海です。
今日もご指導よろしくお願いします。
和尚:
いらっしゃい。元気?
七海:
はい、お陰様で元気です!
和尚、前回までは「一連の講義」的なお話でしたが、前回(※)で一旦、それも終わりましたよね?
※ 前回のお話はコチラになります。
『七海メンタルを学ぶ(5):「気づき」について』
今回はプロゴルファーを目指す研修生七海(※)が和尚と「気づき」というテーマでメンタルに取り組んでいるところにお邪魔して一緒に学ばせてもらいましょう…
今日は何を一緒に学べるのかしら♫
和尚:
実はね、私は知り合いの人から
「和尚、どうしても池越えや谷越えに来るとビビって落っことしてしまう😫んで私のラウンドについて来て見てくれない?」
ってお願いされてその人のゴルフのラウンドに何度か付いて行ったことがあるんだ。
まあ、ずいぶんとおかしな人だよね、ゴルフの先生にお願いしないで私なんかの袖(そで)を引っ張ってゴルフ場に坊主を連れ出すんだからさ。
坊主とラウンドレッスンだよ。
笑える😄でしょ?
今日はその時のことを題材にして学びを深めることができたら・・・と思っているんだよ。
まあ、七海は「池ぽちゃ💦」するような腕前ではないから、「な〜んだ」と思っているかもしれないけれど、タメになるところがあると思うから付き合ってよね😉
七海:
はい! もちろん。
「瓢箪(ひょうたん)から駒」で何か出てきそうだから楽しみです!
和尚:
それじゃ〜、その人のラウンドに付いて行ったときのことを振り返ろう。
その人のホームコースのあるホールで、その人にとって大問題な池越えのショートホールに私たちはやって来たのね。
最終的に何度か、その池越えのホールに付き合ったんだけど、私がはじめの内、その人から耳👂にした言葉は次のようものだったんだ。
◇
「私、池があると本当に吸い込まれるようによく入るのよ」
◇
「私、池があるからボールをさっき拾った一番汚いロストボールに変えておこうっと」
◇
「池、嫌だな〜」
◇
「お願いだから入らないで!!」
◇
「私、この前このコースに来た時、この池に入れたのよね〜。そして、その前も。いつも入るのよ」
これらは俗に言うネガティブバージョンね。
「マイナス思考」
っていうヤツ。
七海:
ええ。よくアベレージゴルファーの皆さんが口にすることですよね。
和尚:
そうそう、そうなんだ。
それで、少し本気になって「池越えや谷越えで失敗しないように」と心の面での対処の仕方・・・つまりメンタルだよね・・・を学ぶと人って次のように発言が変わってくるものなんだ。
その依頼の方が数カ月後にご一緒したときにおっしゃっていたことを見てみよう。
☆
「私、プラス思考を心がけているので、自分は池に絶対入らないと言い聞かせてるの。うん、絶対大丈夫、大丈夫!!!」
☆
「私、こういうプレッシャーがかかる状況好きなのよね」
☆
「私、こういうホールでは特に気にしないようにしてるんです」
☆
「こういうところで、ロストボールなんかに変えるのは意識し過ぎでかえって池に入るから、私なんかニューボールで打っちゃうもんね」
これらはどういうどういうものだろう?
七海、わかるかな?
七海:
はい、これらは
プラス思考の言葉、強気の言葉
ですよね。
和尚:
その通り。正解!!
メンタルに関してはここ数年
「ポジティブシンキング」の有効性
が取りざたされていて、
弱気の性分の人も無理やり自分を変えて「強気に人にならなければ」🔥
という風潮さえあるように感じさせられます。
何を隠そう、この私も修行の途中では自分の心の弱さを克服し、
「心臓に毛を生やそう」
「野武士のようなたくましい男になろう」
と励んだ時もあったんだよ😁
でもね、「心」とか「精神」ということを探求してきて、今、私はメンタルの問題に関しては
「ポジティブシンキング」が絶対であるとは思っていない
んだよね。
七海:
ええっ??
和尚、そうなんですか?
それはどういうこと??
和尚:
うん、こういうことだよ。
「強気」と「弱気」は真逆のもの
だけど、
それらは表裏一体のものでもある
ということだよ。
七海:
表裏一体?
和尚:
ああ、そうなんだ。
でも、その前にちょっと一服してから続きを見ていく👀としようか🍵
七海:
は〜い。
では私、お茶を入れてきます。
和尚:
さて、それでは続きを見てみることにしようか。
「強気」と「弱気」は真逆のものであるけれど、実は表裏一体だという話をしていたところだったよね。
七海:
はい、そうでした。
和尚:
表裏一体ということはね、頭で考えると「強/弱」に分けてしまうけど、
「心」は本来「一つ心(こころ)」
なんだよ。
たとえばね、「10円玉」ってあるじゃない。
「10円玉」には「表」と「裏」があるよね。
そして確かに「表」と「裏」は
↑間逆↓
さ。
でもさ七海、
では、どこからが「表」でどこからが「裏」か教えてくれるかい?
七海:
「どこから『表』が『裏』に変わるか?」ですって・・・?
う〜ん、境目はありません。
和尚:
でしょ?
七海が言ってくれたように「表」と「裏」の境目がないというところまで一緒に見てきた👀んだけど、心もその10円玉と同じさ。
だって七海の心は「七海の心」で一つでしょ?
その心が「泣いたり😫」、「笑ったり😄」する。つまり、「裏」を見せたり「表」を見せたりするわけだ。
たまにへそを曲げて「横」を向くときもあるかもしれないね(笑)
冗談はさておき、だから
表面上「強気」な心に変わった
としても
裏には元の「弱気」な心がまだいる
んだ。
七海:
それでは和尚、どうすればいいのかしら?
このままだとメンタル的に改善の方法がなくなっちゃうようだけど・・・。
和尚:
いや、そう心配しなくとも大丈夫だよ。
今まで多くの人は「表」か「裏」か、「強い心」か「弱い心」の二者択一で考えていたんだ。
二者択一、つまり「二つのうちのどっちかを選ぶ」ということだね。
そしてあたかも悪い方と見られている「弱い心」を善い方と見られている「強い心」に変えようとしてきた。
そうじゃない?
七海:
ええ、そうですね。そういうように私も考えていました。
和尚:
本当のメンタルの改善は
「二者択一」ではなくて「丸ごと」
になっていくんだよ。
七海:
はあぁ・・・、丸ごと・・・ですか・・・?
和尚:
うん、そう。
丸ごと
ね。
丸ごとというのは
「全体をありのままに見る心」
ということなんだ。
自分の中の強い心も弱い心も
一線引かずに丸ごと見る
ということ。
それを
受け容れる心
と表現することもできるよ。
七海:
そうすると分け隔てなく、自分の弱い心も逃げずに見て、受け容れるということでしょうか?
和尚:
うん、そうそう。よく理解できているね😉
「弱い心」だけでなく、「強い心」も「すねた心」も「その他もろもろの心」も全部ね。
それと細かいようだけど、大事な点があるよ。
真季子はそういう心を「見る」と言ったように聞こえたけれど、正確には「観る」ね。「観察する」ということ。
それは大切なことだよ。
そして、よく考えてごらん。
「弱気」な人が「強気」になろうとするのは、
「自分の弱気から逃げる」という意味で
依然として弱気じゃない?
逆に「弱気な人」がその弱音から逃げずにその心そのままにゴロッと人前でその「弱気」のままでいられることが出来れば、それはもう十分に「心臓に毛が生えている」と言えるんじゃない?
七海:
な〜るほど。それは確かに和尚におっしゃるとおりだわ。
これは目からウロコだわ。
和尚:
私は七海がせっかくメンタルに取り組むのであればゴルフの技術と同様に表面的にではなく、深いところから学んでもらって、取り組んでもらいたいと思っているんだ。
たとえばだよ、ゴルフのためにメンタルを活かしたいなんていうちっぽけな考えではなくってね、
「ゴルフのためにメンタルを学んでいたら、自分の人生の他の面も知らず知らず変わっていた」
というような学びをしてほしいと思っているんだ。
そういう意味でも「二者択一」、ポジティブ or ネガティブという方面からの心への取り組み方ではなく、「まるごと受け容れる」という方面からの取り組みを期待したいんだ。
七海:
和尚、有難うございます。
その方面から取り組むように頑張ります。
和尚:
よし! 一歩ずつ共に歩んでいこう!!
ところで七海、
メンタルが弱い
と言う人の共通点があるんだよ。
それはね、
私、メンタルが弱いんですよね。もっと精神的に強くならないと!! どうにかしないと!!
ということを事あるごとに言っているということなんだ。
私はね、そうしている人を見るとついつい
「気が弱かろうとなんだろうと、あなたのままで『ジーっと』していてみてください」
って言いたくなっちゃう💦
七海:
でも、和尚、それでは変われないような気がしますが・・・?
和尚:
この話をするとそういう反応が決まって返ってくるよ😃
そのジーッとしている状態というのは
「私、メンタル弱いんですよね」と人に言うこともなく、
「強気に考えるようにしているんです」と人に言うこともない
という立ち位置だよね?
その立ち位置を
中庸
って言うんだ。
人はこの地味な中庸の立ち位置に気づかずに左右の極端に振れるのだけれど、この中庸の場が最も自然に力が発揮できるところなのね。
個人的には数年後にはポジティブシンキングはメンタルの舞台から去って、今日、七海と一緒に観てきたような「その身そのままの自分が最強」ということが当たり前の時代になっていると思うんだ。
ただ「その身そのまま」と言っても、よく言われるように
「あなたはそのままでいいんだよ」ということではなく
て、心の歪(ゆが)みが取れてありのままにものごとを観ることが出来ることね。
だから、
心の歪みを取る努力は必要
ということなんだよ。
心の歪みが取れてくるに従って、七海はありのままにものごとを観て取れるようになって、内からの本当の力が現れて、七海がメンタルに期待するすべてを手に入れることができるようになるよ。
まあ、このお話は今後一緒に学んで行くうちに次第にわかってくるから大丈夫。
七海:
わかりました。
何だかワクワクしてきます。ポジティブシンキングと異なり、無理なく自然にできそうな気がしています。
ところで和尚、今回のお話は予想通り、「瓢箪から駒」でしたが、和尚はアベレージゴルファーに池越え/谷越えの対処法を教えるとしたら、そのときはどのように教えます?
今回のお話では明日のラウンドには役立たないでしょ?
私も聞いておきたいです。
和尚:
ああ、そうだったね。
元はそういう話題から今日の話は始まったんだった💦
では、その依頼を受けた方に私がどのようにアドバイスしたのかを教えよう。
もちろん、その方にも今回七海に話したことはお話して中長期的に取り組まれることをお約束いただいたことは言っておくよ。
その上でね、私がその方に言ったことは次のことなんだ。
・・・・・・・・・・・・・・
根っこから変わるまでは、とりあえず池越えや谷越えのショットに直面した時には以下のことを守ってみてください。
【和尚の池越え/谷越え簡易ポイント集】
◇ 池や谷を嫌がるのは自然な反応だから良い。
ただし、心のなかで、それが生じてもつかまず、流れて行くのを観守る(※)
※ 練習要。
◇ 意識を「どこに球が落ち、転がっていくか」というイメージに鮮明に向ける。
◇ 二度逃げをしない。
二度逃げとは例えば右の池を避けて左方向へ向いて、振る際にもまた「さらに池を嫌がって」左方向へ振ることを言います。
「方向」と「振り」で二度池から逃げていますね。
二度逃げしますと池とは反対のトラブルにつかまり、池に入れた場合よりも深刻なトラブルに見舞われる可能性もあります。
方向で池を避けたのなら、あとは素直に振ることです。
その方には
「これで次回、池越えや谷越えに挑戦される際には『心臓に毛の生えた状態』で望めるかもしれませんよ」
と付け加えておいたよ😁
七海:
私も早く心臓に毛を生やしたいです😄
和尚、今日も有難うございました。失礼しますね。
わかる人には「ああ、そうか」とすぐにわかる。
わからない人にもいずれ「ああ、そうだったか」とわかる。
須崎の『ゴルフに役立つメンタル』でした。
グッド・ラック👍
今回もお読みいただきまして有難うございました😃
また一緒に楽しみましょう!!