スコアアップの鍵は「変化への気づき」にあり!マイケル長谷川が語るサスティナブルな上達法
「最近、ゴルフの練習を続けているのに、なかなか上達が実感できない…」
もしあなたがそう感じているのなら、今日の話はきっと役に立つはずです。多くの方が上達の過程で同じような悩みを抱えることがありますが、実はちょっとした視点の変化で、その壁を乗り越えるヒントが見つかるかもしれません。
大切なのは、自分自身の成長を測るための「物差し」を持つことです。今回は、その物差し作りの重要性と、それがゴルフ上達にどう繋がるのかをお話しします。
上達の停滞感から抜け出す「物差し」の力
練習を重ねても上達を感じられない時、私たちは何を見失っているのでしょうか。それは多くの場合、客観的に自分の変化を捉える「基準」や「物差し」がない状態かもしれません。
この「物差し」とは、何も特別なものである必要はありません。例えば、いつも同じレストランで同じメニューを頼むことを想像してみてください。
日常の繰り返しが生む「変化への気づき」
行きつけのレストランで、いつものミートソースとアイスコーヒーを頼むとします。毎回同じものを頼んでいると、ある日「今日のミートソースは少し甘めだな」「店内が以前より少し暗く感じるな」といった細かな変化に気づくことがあります。これは、いつも同じものを体験しているからこそ、些細な違いを感じ取れるのです。
もし、毎日違うレストランで違うものを食べていたら、このような変化にはなかなか気づけません。味付けの微妙な違いや、お店の雰囲気の変化は、比較対象となる「いつもの状態」があって初めて認識できるのです。
最初は、お店側の変化に気づくことが多いでしょう。しかし、これを続けていくと、今度は自分自身の変化にも気づくようになります。「以前はこのくらいの量で満足だったのに、最近は少し物足りなく感じるな」とか、「昔は昼に来ていたけれど、最近は夕方に来ることが増えたな」といった具合です。
このように、同じことを続ける中で、自分自身がどう変わってきたのか、何を感じるようになったのかが見えてくるのです。
ゴルフにおける「同じ」の価値
この「同じことを続ける」という原則は、ゴルフにおいても非常に重要です。
例えば、いつも一緒にラウンドするゴルフ仲間がいるとしましょう。気心の知れた仲間と繰り返しプレーすることで、「今日は〇〇さん、いつもより飛距離が出ているな」「今日はなんだかプレーのテンポが速いな」といった、自分や相手の些細な変化に気づきやすくなります。
ゴルフは、様々な人と出会い、多様なコースでプレーすることも大きな魅力の一つです。しかし、それとは別に、「変わらない何か」を持つことも、上達のためには非常に有効なのです。
「ホームコース」という自分だけの物差し
以前のラジオでもお話ししたことがありますが、「ホームコースを持つ」ということは、この「物差し作り」において非常に効果的です。これは、必ずしもそのゴルフ場のメンバーになるということではありません。自分が定期的に通い、自分のゴルフの基準点となるコースを作るという意味です。
同じコースでプレーを続けていると、例えば、
- 「以前はあの木まで届かなかったのに、最近は届くようになった」
- 「あのバンカーの手前に刻んでいたのが、今ではキャリーで越せるようになった」
- 「前回はこのホールで大叩きしたけれど、今回はパーで上がれた」
といった具体的な変化に気づくことができます。
このような気づきがあると、「なぜだろう?」と考えるきっかけになります。そして、「最近、スイング改造に取り組んでいる成果が出てきたのかもしれない」「アプローチの練習の成果で、寄せやすくなった」など、自分の取り組みと結果を結びつけて考えることができるようになります。これが自己分析であり、次の課題設定へと繋がっていくのです。
もし、毎回違うコースでプレーしていたら、飛距離が伸びたのか、アプローチが上手くなったのか、それとも単にその日のコースが自分に合っていただけなのか、判断が難しくなります。変化を感じられなければ、自分が成長しているのか停滞しているのかさえ分からず、モチベーションを維持することも難しくなってしまうでしょう。
練習場についても同じことが言えます。いつも同じ練習場で、同じ打席から、同じ目標に向かって打つことで、自分のショットの傾向やその日の調子を把握しやすくなります。
続けることで見えてくる自己成長の軌跡
「続けること」の重要性は、何もゴルフコースやレストランに限った話ではありません。
私自身、以前は平日の毎朝、このラジオを配信していました。その時、自分では毎回同じように元気にオープニングを話しているつもりでも、後から聞き返すと、体調が良い時と悪い時では声のトーンや張りが全く違うことに気づかされました。例えば、腰が痛い時などは、無意識のうちに声の勢いがなくなっているのです。
これは、毎日同じように「話す」ということを続けていたからこそ客観的に気づけた自分の変化です。
オンラインサロンでの気づきと改善
私が主宰しているオンラインサロン「Next Golf Camp(NGC)」でも、続けることから得られた大きな気づきがありました。以前は、毎月1回、テーマを決めてライブ配信でレッスンや講義を行っていました。これがサロンの主要なサービスだったのですが、参加者の反応を見ていると、ある変化に気づいたのです。
同時期に始めた、別のコーチによるメンタル講座のライブ配信では、配信開始から終了まで視聴者の離脱がほとんどありませんでした。一方で、私のゴルフレッスンのライブ配信では、途中で参加者が減ってしまうことがあったのです。
平日の夜という時間帯もあり、忙しい中で興味が持てない内容だと離脱してしまうのは仕方がないと考えていました。しかし、同じ時間帯のメンタル講座では離脱がないという事実を目の当たりにし、単に時間のせいだけではないと気づかされました。
レッスン動画というのは、通常、視聴者が見やすいようにテロップを入れたり、不要な部分をカットしたり、BGMをつけたりと編集が施されています。それに対して、NGCのライブ配信は1時間近く、無編集の映像をそのまま流していました。これでは、集中して見続けるのが難しい方もいたでしょう。
この気づきから、NGCでは5月から月1回のドリル動画を、しっかりと編集した形でお届けし、それに対する質問を別途ライブ配信で受け付けるという形式に変更しました。これも、数年間同じようにサービスを続け、参加者の反応を観察し続けてきたからこそできた改善です。
新しいことへの挑戦と「続けること」のバランス
もちろん、新しいことに挑戦し、様々な経験を積むことも非常に大切です。私自身、AIのような新しいテクノロジーには非常に興味があり、積極的に取り入れています。
最近のAIの進化は目覚ましく、例えばYouTubeの動画内容をAIが要約してくれるだけでなく、その内容についてAI同士が対話形式で解説するようなことまで可能になっています。これは非常に面白い時代の変化だと感じていますし、こういった新しい技術をゴルフにも活かせないかと常に考えています。
大切なのは、この「新しいことへの挑戦」と「変わらないことを続ける」という、一見すると相反する二つのことのバランスを取ることです。
常に新しいものばかりを追い求めていると、自分の中の確固たる軸や基準を見失いがちです。逆に、古いやり方に固執しすぎると、時代の変化に取り残されてしまう可能性もあります。
ゴルフにおいても、様々なコースに挑戦して自分の実力を試す楽しみは素晴らしいものです。しかし、それと同時に、自分自身の成長を測るための「ホームコース」や「決まった練習ルーティン」といった「変わらないもの」を持つことで、より深く自分のゴルフと向き合い、確かな上達を実感できるようになるはずです。
まとめ:あなたのゴルフに「物差し」を
上達を感じられない時期は誰にでも訪れます。そんな時こそ、一度立ち止まって、自分自身の「物差し」を作ってみることをお勧めします。
それは、お気に入りのレストランに通い続けることかもしれませんし、信頼できるゴルフ仲間と定期的にラウンドすることかもしれません。あるいは、決まった練習場で同じドリルを繰り返すことかもしれません。
同じことを根気強く続けることは、時に大変さを伴います。しかし、その継続こそが、自分自身のわずかな変化に気づく鋭敏な感覚を育て、客観的な自己分析を可能にし、そして何よりも「自分は成長している」という実感を与えてくれるのです。
この「変化への気づき」は、ゴルフ上達におけるかけがえのない財産となるでしょう。皆さんもぜひ、自分なりの「物差し」を見つけ、日々の練習やラウンドに取り組んでみてください。その先に、きっと新しい発見と成長が待っているはずです。